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【宇多丸絶賛】文化系のためのヒップホップ入門

ヒップホップ 音楽 アメリカ
Vol.7
文化系のためのヒップホップ入門
長谷川町蔵 (著), 大和田俊之 (著)

 

 

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「ラップ?ヒップホップ?ダサいよね。」

 

黒人文化をルーツに持つヒップホップという音楽ジャンルは、それが興味のない人にとっては確かにダサいかもしれない。「YO!チェケラッチョ!」のようなラップ特有の言い回しやルーズな服装ばかりに目が行きがちで傍からすれば取っ付きにくい音楽だろう。テレビで頻繁に取り上げられる「親に感謝!」的なラップもヒップホップに対する偏見を助長している原因の1つだ。

しかしヒップホップ本来の魅力は表層的な言葉遣いやファッションとは異なるところにある。文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)はヒップホップというジャンルについて様々な角度から平易かつ分かりやすい口調で説明し、その音楽の奥深さや影響を教えてくれる。

 

ヒップホップはゲーム

未だに"ヒップホップ"="社会批判"というイメージはよく強調される。しかしそれはヒップホップの持つ様々な要素のイチ側面に過ぎない。ラップという表現技法はその手法そのものがユニークである。自らの経験を切り口に『韻』を踏みながらビートに言葉を乗せて自分のスキルを誇示するいわばゲームのようなものだ。

 

長谷川: ヒップホップはあくまで、みんなが漠然と考えていることを気の利いた言い回しでラップできれば勝ち、っていうゲームなんですよ。 

 

ドロップアウトとドロップイン

ロックとヒップホップはしばしば対比的に扱われる。本質的に、ロックは若者の満たされた日常のアンチテーゼとして昇華された音楽だが、ヒップホップは正反対、成り上がりの"手段"として始まった。

 

長谷川:まずロックという音楽がなにを目指しているのかを考えると、要するに、「資本主義社会の中核を担う中産階級からのドロップアウト」ですよね。

大和田:そうですね。ある音楽研究者の言葉を借りるならば、労働者階級の「反抗」や「抵抗」というイメージを郊外の中産階級の若者にファンタジーとして抱かせるのがロックだと。(中略)

長谷川:でもヒップホップは正反対なんです。資本主義から締め出されちゃっている人が、資本主義に参入していくための手段として始める音楽だから。「ドロップアウト」ではなく「イン」なんです。

 

本書ではこういった他ジャンルとの比較や音楽の起源、政治的思想など幅広い角度からヒップホップとはなにかを初心者にも分かりやすく教えてくれる。

 

宇多丸も絶賛のヒップホップ入門書

ライムスターの宇多丸氏もTBSラジオ『小島慶子 キラ☆キラ』(2012年に打ち切り)で本書について触れている。

宇多丸

日本ってヒップホップっとはなんぞやというところの遥か手前の『偏見』で止まっちゃってる人がすごい多いんですよ。ヒップホップってチェケラッチョでしょ?なんか太いズボン履いて恐い人がやってるんでしょ?みたいな。その時点でイメージだけで止まっちゃってて。
例えば洋楽ファン、ロックファンは物凄く太い主流として音楽シーンの中にあるんだけど、その音楽をよく聴いているロックファンの中でも、ヒップホップ以降のアメリカ音楽のメインストリームの在り方っていうのがある、ということを理解しないで「ヒップホップは俺苦手だから」って人が多いってのが事実だと思うんですよ。
その理由にはぼくらの啓蒙活動が足りなかったのに加えて、ヒップホップ解説書みたいなものはあるんだけど、どうしても門外漢に向けた言葉になっていかなかったところがあるのかなと。特に最近はジャンルが細分化しているせいもあってヒップホップ専門の言葉になっちゃって。そういうところで”文化系のための”ってなってるけど早い話が”ヒップホップって苦手だ、と思ってる人のための”ヒップホップ入門なわけですよ。
そもそも大和田さんの方はずっとヒップホップ苦手だった。そしてあるところで楽しみ方が分かったとおっしゃってて。なのでその視点で尚且つ凄く外に向けて分かりやすく口語で書かれてて本当にいいなという風に思うんです。

 

 HipHopにちょっと興味があるけど...って人におすすめ

 ヒップホップという音楽に興味がある。いくつか音源を聞いてみたけどどんな音楽ジャンルなのか腹落ちしていない。ヒップホップの歴史をしっかり勉強したい。

そんな人達に心からおすすめできる入門書だ。対談形式で話が展開されるのでとても読みやすくかつ濃い内容となっている。

文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)