隠された経済とその在処|富の未来 上巻 |

Vol.4
富の未来
A. トフラー (著), H. トフラー (著)

 

 

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2014年の時点で金銭経済の総量、つまり世界全体の年間総生産は78兆ドルだ*1。富の未来が出版されたのは2006年、この時点では約50兆ドルだった。世界全体の金銭経済はこの8年で1.5倍になっている。このお金を世界中の全人口で分配すれば飢餓はなくなるだろう。はじめから話が逸れた。

 

『富の未来』でトフラーは"金銭経済以外の経済"も含む富、つまり紙幣ではない隠れた経済の存在を指摘している。その規模は50兆ドル以上だという。この目に見えない経済は闇で取引される金銭経済のことではない。もっと身近なもので私達は実際に毎日それを生産している。

 

生産消費者の経済、金銭経済

 

何かを生産したらそれを販売することが金銭経済だが、生産消費者の経済ではそうでない。例えばお母さんが毎日振る舞う料理は、愛する家族に向けた生産消費活動だ。金銭的やり取りは基本的にはない。つまり金銭経済に含まれない経済が家庭内で発生している。トフラーはここに目を向けた。

 

わたしたちは金銭的見返りなどなにも考えず、気付くことすらないくらい自然にこのような生産活動を行っている。そしてインターネットの爆発的普及によってこのような無償の活動の影響力は大きくなっている。

 

Wikipediaが良い例だ。なにか分からない言葉や概念と出会うと多くの人がWikipediaでその意味を調べる。コンテンツはボランティアの上に成り立っている。つまり世界中の人々が無償で執筆し、Wikipediaという百科事典を金銭的な見返りを期待せず作り上げているのだ。

 

このような経済を支える人々のモチベーションは様々だが、少なくとも金銭的なものではない。これまでのように価値を金銭に置き換えることの意味は希薄化していく。金銭経済は"金銭経済以外の経済"の上に成り立っている。無給の労働を正確に測ることはできないが、この市場は爆発的に伸びている。自分の満足は自分で作る時代に突入しているのだ。近い将来、わたしたちは生活に関わるものすべてをDIYすることになる。

富の未来 上巻